【なぜ今さら売れてる?】XF35mmF1.4 Rが14年経っても人気な理由

突然だけど、カメラの中古フリマ市場から、とんでもなく面白いニュースが飛び込んできた。

カメラ・レンズの取引プラットフォーム「みんなのカメラ」が発表した最新データ(2025年11月〜2026年5月)によると、並み居る最新鋭レンズを抑えて、単焦点レンズの取引数で圧倒的トップに輝いた一本がある。

それが、富士フイルムが2012年に発売した古参レンズ、「XF35mmF1.4 R」。

なんとこれ、2位のソニーの最高峰レンズ「FE 50mm F1.4 GM」に対して3.5倍もの取引件数を叩き出している。発売から14年が経過した初期のレンズが市場を独走しているという事実。

「みんな本当にこのレンズが好きなんだな」とニチャ〜としてしまったわけだが、今回はこの理由について、自身の視点も含めて解説していく。

目次

デジタルが隠した「写真の温かみ」を残してくれる

このXF35mmF1.4 Rというレンズが写し出すのは、完璧さとは真逆の、どこか懐かしくてエモーショナルな世界。

ピントを合わせた部分は優しく柔らかく写り、背景はまるで「とろ〜んと溶けていく」ような、見事なボケ味を見せてくれる。

今のスマホはAIの力で「失敗のない完璧な写真」を自動で作ってくれるが、このレンズはあえて、光の優しいにじみ(フレア)や、完璧すぎない手触りをそのまま残してくれる。

14年前のレンズでありながら、どこかオールドレンズ的な描写をしてくれるのも、このレンズの大きな魅力。

まさにこの「機械っぽくない、人間の眼で見たような温かみ」こそが、多くの人を惹きつけて離さない最大の理由なのかもしれない。

動きはちょっと不器用。でも、そこが愛おしい。

もちろん、14年前の設計だからこその「不器用なところ」もある。

ピントを合わせるとき、レンズの中のガラスを大きく動かしてピントを合わせる方式になっているため、今のレンズに比べるとAFは少し遅い。

さらに、動くときに「ジーコ、ジーコ」と機械的な音が耳に届く。

けれど、静かで効率ばかりを求める今の時代において、この「ジーコ音」は、レンズが一生懸命動いている手応えそのもの。

カメラを構えて、自分の手で写真を撮っているという確かな感覚を思い出させてくれる。

さらに、このレンズは驚くほど軽くて小さい。

重さはわずか187gで、缶コーヒー1本分よりも軽い。

富士フイルムが2021年に発売した、実質的な新世代標準レンズ「XF33mmF1.4 LM WR」は、性能こそ大幅に向上したが、重量は約360gと倍近くになってしまった。

おまけに、新型よりもこのXF35mmF1.4 Rの方が、被写体に2cm多く近づいて撮影できる(最短28cmまで寄れる)という隠れたメリットもある。

お散歩でのスナップや小物撮影では、実はこの古いレンズの方が軽快で使いやすい。

一体、どんなものを撮るのに向いているのか?

これだけ軽くて独特の写りをするレンズだが、具体的には日常の街歩きスナップ、カフェでのテーブルフォト、そして大切な人を引き立たせる人物写真を撮るのに、これ以上ないほど向いている。

街歩きが楽しくなる「スナップ撮影」

このレンズをカメラに付けると、写る範囲(画角)が「人間が何かをじっと見つめているときの視野」とほぼ同じになる。

目が留まった景色に向かってカメラを構えれば、そのままの感覚で四角い写真に切り取ることができる。

首から下げて一日中街を歩いても全く疲れず、サッと構えてパッと撮る軽快さが最大の武器になる。

席に座ったまま綺麗に写せる「テーブルフォト」

一般的な大口径レンズ(背景が大きくボケるレンズ)は、構造上、被写体にあまり近づいて撮れないものが多い。

しかし、このレンズは前述の通り最短28cmまで近づいて撮影することができる。

わざわざ席から立ち上がる必要もなく、椅子に座ったまま、目の前の料理やスイーツを大きく、印象的に写すことができる。

主役が引き立つ「人物写真(ポートレート)」や「夜景」

F1.4という光を多く取り込める設計のおかげで、背景が優しく美しくボケるため、まるで映画のワンシーンのようなドラマチックな人物写真になる。

また、比較的暗い場所にも強いため、夕暮れ時や夜の街でも写真がブレにくく、夜の雰囲りをロマンチックに残すことが可能だ。

大自然の広大な景色をダイナミックに写したり、遠くの野鳥を狙ったりするのには向いていない。

けれど、自分の手の届く範囲にある日常を、ハッとするほど温かみのある作品に変えてくれる。

これこそが、このレンズが今なお愛愛され続ける理由なのだと思う。

「使ったあとに、買った値段で売れる」という資産価値

このレンズがこれほど売買されている理由は、写りの良さや使いやすさだけではない。

実はここ数年、世界的な物価高の影響で、カメラ製品そのものがどんどん値上がりしている。このレンズも、昔は5万円前後で新品が買えた時代があった。

しかし2026年現在では、メーカー想定価格は11万円台に達し、実売でも8〜9万円前後と、かつてよりかなり高価な存在になってしまった。

そこで多くの人が利用しているのが、5万〜7万円前後で売買されている中古フリマ市場。実はここに、かなり面白いサイクルが生まれている。

昔、5万円台で買って何年も使い倒した人

今フリマに出すと、買ったときとほぼ同じか、それ以上の「6万〜7万円」で売れてしまう。つまり、長年使っていたにもかかわらず、実質かなり低コストで楽しめていたことになる。

もちろん、個人間のフリマ取引に不安を感じる人もいると思う。そうした場合は、しっかりとした検品と保証が付く「カメラのキタムラ」の中古販売を利用するのがおすすめ。初心者でも失敗のリスクを最小限に抑えられる。

これから使いたい初心者

新品は高くて手が出なくても、中古フリマなら比較的手頃に入手できる。もし自分に合わなくても、また同じくらいの価格で売れる可能性が高いため、大きく損をするリスクが少ない。

個人的な見解にはなるが、富士フイルムのレンズは中古価格が崩れにくい印象がある。特にこのXF35mmF1.4 Rについては、今後さらに価値が上がっていく可能性すらあると思っている。

富士フイルム フジノンレンズ XF35mmF1.4 R 中古価格比較 – 価格.com

まとめ:日常をちょっと特別にする、不滅の神レンズ

写りの個性
スマホや最新レンズにはない、
柔らかくエモーショナルな
雰囲気が出せる。

高い実用性
87gと極めて軽く、
最短28cmまで寄れるので、
スナップやカフェ撮影に最適。

経済的メリット
中古市場でも価値が落ちにくく、
実質コストを抑えながら楽しめる。

手の届く日常を“カメラらしく”、ハッとするほど美しく切り取るなら、これ以上ないほど魅力的なレンズだと思う。

しかも、手放すときにも価値が落ちにくい。だからこそ、初心者でも安心して飛び込める、不滅の名作レンズなのかもしれない。

本日も最後まで読んでくれてありがとう。

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この記事を書いた人

1997年生まれ、東京都在住。フォトグラファー・ブロガー。
精神保健福祉士として従事した後、フォトスタジオでの3年間の勤務を経て現在に至る。
本ブログでは「生活と仕事の実用性」をテーマに、カメラ機材のレビュー、制作環境を最適化するガジェット情報、個人でのワークスタイルを発信。また、福祉職の経験を活かし、生活基盤を整える社会制度などのライフハックの情報も解説している。

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